相続税額計算の概要

【1】「課税価格の合計額」の計算
各財産を相続税法の定めに従って、評価し、その合計額を算出します。
居住用の宅地や、事業用の宅地には、評価減の規定があります。ただし、適用には、要件が複雑なため、注意が必要です。
生命保険金や退職手当金、生命保険契約に関する権利も、みなし財産として、課税の対象になります。一定の非課税規定が用意されています。
被相続人の残した債務や、葬式費用は、マイナスの財産として、課税価格の合計額の計算上、控除できます。範囲については、注意が必要です。
生前に贈与されたもののうち、3年以内に贈与された分については、相続税として、税額計算のやり直しをするため、相続財産同様に、評価して、加算します。


【2】「遺産に係る基礎控除額」の計算
5千万円 + 1千万円 × 法定相続人の数
「法定相続人」とは、民法の規定による「相続人」で、放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人をいいます。通常、配偶者と子供が、相続人となります。子供が既に亡くなっている場合には、孫をその亡くなった子供の代襲相続人とします。
「法定相続人の数」というと、上記「法定相続人」の人数をいいますが、養子が含まれる場合には、一定の制限があるので、注意が必要です。


【3】「課税遺産総額」の計算
「課税価格の合計額」 − 「遺産に係る基礎控除額」


【4】「相続税の総額」の計算
「課税遺産総額」を、各法定相続人ごとに、それぞれの法定相続分に、按分します。
上記按分した金額ごとに、それぞれ、該当する税率(10%〜70%で累進超過税率となっている。)を適用し、それぞれ税額を算出ます。
上記算出した税額の合計額を計算します。この金額が、それぞれの財産を相続した者の、納付する相続税額の、基となる税額です。
「法定相続分」とは、民法において、同順位の相続人が数人あって、共同相続となる場合の相続分として、法定しているものです。
例えば、配偶者と、子供3人が、法定相続人である場合、配偶者が1/2、子供は、それぞれ、(1/2)×(1/3)ずつ、というように定められています。


【5】「各人の算出税額」の計算
「相続税の総額」を、各人が取得した財産の課税価格の比で、按分します。


【6】「各人の納付税額」の計算
「各人の算出税額」に、加算の規定と、税額控除の規定を適用して、それぞれの納付する税額を算出します。
「相続税額の2割加算」...{配偶者、1親等の血族(代襲相続人)}以外の者が、遺産を取得した場合に、適用されます。
「贈与税額控除」...相続開始前3年以内に、贈与により、取得していた分について、相続税として、課税のやり直しをします。贈与により取得した財産の課税価格を相続財産に含める分、既に、贈与税として、納付した税額を、控除します。
「配偶者軽減」...配偶者が、遺産を取得した場合には、法定相続分(法定相続分が1億6千万円に満たないときは、1億6千万円)までに相当する税額を、軽減する規定です。
そのほか、「未成年者控除」「障害者控除」「相次相続控除」「外国税額控除」などの税額控除の規定があります。